かりあの読書レビュー

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ほかほか蕗ご飯 / 坂井希久子

 

 

 

 

 

すこぶる面白い時代小説に出会ってしまった!

 

 

あらすじ

 

武家の次男である林只次郎は、鶯の鳴き声を調教することで家計をなんとか支えていた。次男坊であるので家禄は継げず、あれこれ立場に苦しむことがある。そんな折、あれやこれやの縁があり、「居酒屋ぜんや」に出会う。そこで出される料理に舌鼓を打ちながら、美しい女将のお妙の笑顔に救われる只次郎だった。連作短編の形をとった時代小説。

 

 

各話あらすじ

 

「笹鳴き」

鶯の鳴き声をしつけることで家計を支える林只次郎だったが、ある日のこと上客の鶯が忽然と姿を消してしまう。すっかり青ざめ落ち込んだ只次郎を、鶯の糞を売ることを生業にしている又三に誘われ、「酒肴 ぜんや」の暖簾をくぐることになる。そこで出会ううまい料理の数々。そして鶯失踪事件は思わぬ方向で幕を閉じる。

 

「六花」

「ぜんや」に通ってくる客である、林只次郎、菱屋のご隠居、升川屋喜兵衛の3人は、その日も美味い料理に舌鼓を打っていた。

ひょんなことから、「ぜんや」の女将であるお妙が上方の出であることを知った升川屋喜兵衛は、突然お妙に頭を下げてあるお願いをする。

 

「冬の蝶」

只次郎は武家の次男であるがゆえに悩んでいた。

林家はかつて逼迫していたものの、只次郎が始めた生業が思いの外評判が良く、次男ではあるものの、家はほとんど只次郎の稼ぎで食っている状態だった。しかしそれでも大きく出れないの次男の悲しいさだめ。兄と弟。父と兄弟。只次郎の心中にスポット当てた一編。

 

「梅見」

朝湯の帰りに思わずスられそうになったお妙。スリの犯人はなんと身寄りのない子供だった。

自分の身の上も重なり、ついその子を連れて帰ったお妙。子供の名前は「小熊」という。そして小熊はなんと、ここで働かせてくれという。

 

「なずなの花」

只次郎と付き合いの長い又三であるが、只次郎でさえ又三の出自については聞いたことがなかった。

うまい料理と酒を囲んで、ぽつぽつと語る又三の人生。胸に迫る一編。

 

 

全体の感想

 

ものっすごく大好きな小説だったー!!

久しぶりの時代小説だったので、入っていけるかなと思っていたのだが杞憂であった。あっという間に世界観に取り込まれ、出てくる登場人物たちがたちまち大好きになる。特に主人公の腕の立たないお侍、林只次郎が大好き。憎めない性格で、ひたむきにお妙を想うその純粋さが可愛くてたまらなくなる。いつかお妙さんと結ばれてくれーーー!!

この連作短編、どれもこれもすこぶる面白かったのだが、私が個人的に好きだったのが「梅見」。これはダントツ面白かった。特にラストでうるっときてしまって…。一生懸命な小熊が可愛いし、お妙さんの小熊に対する想いが切ない。

ラストの「なずなの花」も、又三さんの出自に思わず胸が詰まる思い。この作者はそういうものを書くのがすごくうまい人なんだなぁと感じた。

しかし、この「なずなの花」のラスト!!!あれはめちゃくちゃ気になるやん!すごい終わり方したやん!これはもう、絶対2巻に手が出るパターンやん!!気になるぅぅ〜!又三さんはどうなるのか。そしてお妙さんがどうなってしまうのか…。

 

またこの小説の見所は、出てくる料理が美味しそうなこと美味しそうなこと…。素朴な料理なのに、その描写が凄まじくうまそうで、素朴がゆえに自分でも作って食卓に出してみたくなる。料理が好きな方でもハマれそうな時代小説だ。

さー!このシリーズは追いかけること決定だ。

こういう小料理屋時代小説の先駆け的存在の、「みをつくし料理帖シリーズ」も1巻を積んでいる。もともと時代小説は好きだけれども、多分、特にこういうジャンル、私は好きなようです。なのでそっちの方も近々読んでみようと思う。

 

それではまた。

 

 

   

 

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